デジタルマーケティングは今日のビジネスを成功させる上で、欠かせないマーケティング戦略のひとつです。
しかし、いざデジタルマーケティングを始めようとしてもそこには様々な障壁が存在します。
デジタルマーケティングの概念を理解するだけでなく、どのプラットフォームを活用して、どういったアイデアでターゲットにアプローチするのか。
オーディエンスを驚かせ、ブランドの存在を認知、より深く理解してもらうためにはどうすればいいのか。
また、課題はそれだけではなく、しっかりと予算とも向き合わなければいけません
それらの答えを見つけるためにも、まずは過去に成功を収めた事例を知り、上手くいった理由を理解することが、
デジタルマーケティングを始める最初の第一歩なのではないでしょうか?
そこで今回は優れたデジタルマーケティング成功事例を6つご紹介いたします。
CONTENTS
AMEX-必要な人に、必要な情報を
特定のターゲットオーディエンスに向けて優れたコンテンツを作成することは、彼らとの間に強力な関係性を構築したいときに最適な戦略です。
AMEXは、「Open Forum」(現在のTrends and Insights)と呼ばれるサイトで大規模なコンテンツマーケティングキャンペーンを実施。
AMEXは彼らの顧客となりうる層が必要であろう情報を凝縮した記事をサイトに集約することで、潜在顧客の開拓と既存顧客との信頼関係の構築を考えていました。
また、あるブランドが権威性を認められるには、多くの人がそのブランドを利用していることが深く関係しています。
そのような権威性を示す点においてもAMEXは彼らの成すべきことを熟知していました。
また、AMEXのコンテンツマーケティングでは金融ニュース、ビジネストレンド、マーケティング、営業、生産性について、キャッシュフローなど、
企業経営に関連するすべてのトピックについて、関連する様々な情報を提供することで、経営者から学生まで様々な層の人がアクセスするようになったのでした。
-コンテンツマーケティングにおける権威性の示し方
また、AMEXが行ったコンテンツマーケティング成功の真の秘訣は、すでに権威を持っている人たちから権威を借りたことでした。
「権威を持っている人から、その権威を借りる?」
これは、現代で言うインフルエンサーマーケティングのことを指します。
コンテンツマーケティング戦略を行うことは、もちろん社内のメンバーだけで行うことも可能です。
しかし、AMEXが取り扱っている商材は「お金」に関わるものです。
人々は薬や食品などの体内に入るもの、もしくは、お金などのパーソナルな部分に関することに対して、
安全な証拠や保証する何かがなければ安易に信じることはできません。
そのため、AMEXが記事を制作する中で多くの金融業界のリーダーや著名人とコラボして、彼らの洞察力や教訓、
アドバイスを提供してもらうことを選んだことは戦略的かつ理にかなった手法だったといえます。
もちろん、AMEX単体でも優良な情報がたくさん詰まったコンテンツを制作することは可能なことに間違いありませんが、
そこに権威性をプラスすることが更に人々に信頼感を持ってもらえることにつながったのです。
もし、あなたのブランドがコンテンツマーケティングを考えているのなら、その業界では有名なインフルエンサーやKOLをうまく活用することは良いアイデアかもしれません。
彼らが業界に対してどう思っているのか、これから何が起こるのか。
ターゲットオーディエンスが知りたいことが詰まったコンテンツなら、必ずそのコンテンツは伸びるはずです。
Airbnb-ユーザーと共にブランドを創り上げる
出典:Airbnb公式Instagramより
数年前まで、海外旅行に行った時、“自分の知らない人の家に泊まる”という選択肢が私たちの頭にあったでしょうか?
泊まる場所を考えた際に思い浮かぶのはホテルか、もしくは現地のゲストハウスなど。
しかし、現在ではごく当たり前に、私たちの選択肢のひとつとして”ローカルの人のお家に、お金を払って泊まる”という選択肢が存在していますよね。
そして、それを当たり前にしたのがAirbnbでした。
Airbnbは誕生から数十年で瞬く間に旅行業界に革命を起こし、ビジネスモデルからプロモーション方法まで、様々な形で多くのビジネスに影響を与えました。
ここでは、そんなAirbnbがどのようなデジタルマーケティングを実施し、急速な成長を遂げたのかをご紹介いたします。
Airbnbの凄さとは?
フォックスライト社によると、Airbnbは創業から10年足らずで、旅行業界を席巻し世界第3位のオンライン宿泊予約サイトとなりました。
Airbnbの成功の秘訣いったい何なのでしょうか?
それは、常にパーソナルであり続けること。そしてターゲット層をしっかりと理解し、コミュニティを構築することなのです。
Airbnb北欧ジェネラルマネージャーのJames McClure氏は
“あなたの顧客、そして顧客が構築するコミュニティーは、マーケティングにおいて最高の資産なのです。”と述べています。
彼らは自分たちが一方的に語り続けるコミュニケーションは現代において通用しないということを、誰よりも早く気づき、顧客自身に語らせることにマーケティングの戦略をシフトしていたのでした。
それがAirbnbのUGCマーケティングにつながるのでした。
AirbnbがのUGCマーケティング
では、AirbnbのUGCマーケティングは一体どのような形なのでしょうか?
Airbnbは公式のInstagramフィードのほとんどにUGCを活用しています。
ユーザーは実際にAirbnbを利用して出会った美しい景色を誰かに紹介したくて、自らのインスタグラムに投稿しますよね。
Airbnb側はユーザーがタグ付けしたコンテンツを公式にリポストするだけです。
しかし、ここに大きなポイントがあるのです。
それは、Airbnb自身が綺麗な写真や魅力的な写真を投稿するよりも、実際のユーザーがユーザーの個人アカウントに感想付きで投稿した写真、
コメントだからこそ信憑性を抜群に高めることができるのです。
何故かというと、ブランド側が自らのブランドストーリーを語るよりも、実際にその商品を使用、
体験した人(=ユーザー)から発せられる声の方がはるかに信憑性があり、ユーザー視点の新たなストーリーの発見につながるからです。
調査によると、アメリカ人の半数以上(51%)が、ブランドや企業のウェブサイトに掲載されている情報よりも彼らの商品に関連するUGCを信頼しており、
それが購入する際に大きな影響を与えると回答しているのです。
UGCをコンテンツ戦略に活用することで、Airbnbはオーディエンスのエンゲージメントを高めただけでなく、Instagramのフォロワー数を13%以上増やすことにも成功しました。
これは小さな増加に見えるかもしれませんが、Airbnbがすでに持っている巨大なコミュニティーを考えると、大きな成長を継続的に続けていることがわかりますよね。
Zoom-バーチャルバックグラウンド
パンデミックの影響でZoomは瞬く間に不動の地位を築き上げました。リモートワークが当たり前になってきている現代において、Zoomはなくてはならない存在ですよね。
そしてビデオ会議に参加したことがある人なら、”背景画面の設定ミスに焦る社員の姿”という言葉に、誰もが共感できるのではないでしょうか。
私たちは急にリモートワークやビデオ会議になれなければいけない環境下に立たされた為、そのシステムに追いつくことに必死で、
背景のことまで考える余裕がありませんでした。
そしてその結果、会社のビデオ会議で散らかったリビングや走り回る子供たち、そして畳みかけの選択を写してしまうことにつながってしまうのでした。
そしてZoomはこの状況にいち早く気づき、うまくキャンペーンに活用したのでした。
彼らはユーザー主体のユニークで楽しいキャンペーンを実施。それは、バーチャル背景をユーザー自らが作成し、
SNS上でシェアする形でコンテストを開催したのです。
彼らのアイデアは思わず参加したくなるような楽しいものでした。しかし、キャンペーンを盛り上げるには大切なことがあります。
それはバーチャルであれ、オフラインであれ、イベントを盛り上げるためにはイベント前の準備が必要です。
デジタルでイベントやキャンペーンを催す場合、参加者に適切な情報を提示・共有することはマスト!しかし、それ以上に参加する側の気持ちを盛り上げなければなりません。
実際にZoomは、コンテスト開催に当たりSNS上でイベントをカウントダウンしたり、面白いプロモーション広告を活用し、
しっかりと参加者のワクワク感を掻き立てるコミュニケーションを行いました。
Facebookページの投稿は、ユーザーが必要とするすべての情報を提供しています。
日付、コンテスト、賞品、そして重要なルールが記載し、キャンペーンのハッシュタグである「#MeetHappy」もしっかり、宣伝しています。
また、ハッシュタグはオーディエンスがキャンペーンを見つけやすくなるだけでなく、主催者側がUGCを見つける上でも役立つので、わかりやすくキャッチーなハッシュタグを用意するようにしましょう!
スターバックス-What’s Your Name?
イギリスのスターバックスが実施した#WhatsYourNameキャンペーン。
私たちが生きてゆく上で一生背負っていくもの、それが”名前”ですが、人それぞれ自らの名前には思うものがあるのです。
動画の中のトランスジェンダーの主人公は自分の名前が女性らしい名前であることに悩む姿を見せます。
女の子らしい名前を持つ彼女は彼として、生きて行こうとしています。しかし、日常生活には”名前”を呼ばれる場面がたくさんありますよね。
病院でも、Amazonで荷物を届けてもらうにしても、そしてスターバックスでコーヒーを頼む時も。
スターバックスはこの動画広告を通して、オリジナルな方法でLGBTQコミュニティーに対するスターバックスの姿勢、想いを表現したのでした。
動画↓
現在、この動画は73万回再生されており、海外では多くの著名人やインフルエンサーのコメントを集めました。
“私自身も性別転換した時に人前で自分の名前を呼ばれることに違和感やプレッシャーを感じることがたくさんありました。だからこそ、この広告が私の心を強く動かしました。”
このキャンペーンが素晴らしいのは、コーヒーとトランスジェンダーが結びついているわけではなく、
彼ら(=スターバックス)のブランディングがその結びつきを生み出しているという点です。
動画を見返したらお分かりいただけると思うのですが、この広告で強調されているのは、コーヒーではありません。
“名前を聞かれる”というスターバックスでの体験が重要なポイントなのです。
そうすることで、トランスジェンダーの若者へのサポートを示すだけでなく、
スターバックスでコーヒーを飲むという体験そのものが”ポジティブな体験”だとオーディエンスは感じることができます。
消費者の目に映る彼らは”コーヒーを売りたい”企業ではなく、”目的を持って、誰かをサポートしている”企業として捉えられていることが、
彼らが今日においても不動の地位を確立している理由なのではないでしょうか。
実際に私たちはスターバックスのコーヒーが目的で行くのではなく、自分の名前を呼んでもらえる温かい接客や、
店内に流れる心地よい音楽をバックミュージックに、そこで繰り広げられる友人との他愛もない会話 という「体験」を求めて、スターバックスに足を運んでいるのかもしれません。
ゲッティミュージアム- お家にあるもので?
2020年、多くの美術館は一般公開されない期間が長く続いたことでしょう。
そのような事態に陥っても、彼らはフォロワーを失うわけにはいきません。
しかし、美術館は閉まっています。
…どうすれば良いのでしょうか?
みんなが家に居るというこの状況下で何か面白いことができないか…?
ゲッティミュージアムはひらめいたのです!
家に居ながら、芸術に触れ、想像力を働かせる。
それを可能にしたのが#GettyMuseumChallengeでした。
彼らはTwitter上で”既存の美術作品を自分の家にあるもの、居る人で模倣した作品”を募集しました。
出典:Getty公式アカウント
最初のチャレンジキャンペーンの発表後、ゲッティはキャンペーンを促進するために、UGCを彼らの公式アカウント上に投稿しました。
すると、それを見ていた多くのオーディエンスは「自分も公式アカウントにリポストされたい」という思いを刺激し、さらに多くの参加を促したのでした。
この#gettymuseumchallengeは、莫大な費用をかけることなくたったひとつの「アイデア」で世界中に大きな反響を生み出しました。
また、このキャンペーンは、国内外の多くの報道機関に取り上げられ、
このキャンペーンによってソーシャルメディアに投稿されたポストは約10万件以上に上り、沢山の人が参加し他だけでなく”楽しんだ”ことがわかります。
このようなキャンペーンがきっかけで彼らを知り、パンデミックが落ち着いた時には実際にゲッティミュージアムを訪れてみたいと思ったのは私だけではないでしょう。
プリングルス-消費者のアイデアから生まれた遊び?
キャンペーンに実際にチャレンジするTikTokerの動画↓
https://www.tiktok.com/@karna.val/video/6893899893442661634
ヨーロッパで始まった#PlayWithPringlesキャンペーンは、既存のTikTokコンテンツを基にして作られました。
プリングルズは、TikTokユーザーがすでにプリングルスの缶を使ってコンテンツを作成しているのを見て、それをブランドキャンペーンにするチャレンジを行いました。
プリングルスは、TikTokのクリエイターとインフルエンサー文化を活用し、彼らの象徴的アイコンである缶を使ったクリエイティブで遊べる動画を作成。
TikTok上でクリエイターがこの#PlayWithPringlesにチャレンジした動画を投稿した後、このチャレンジキャンペーンはユーザー間で自然に広がり、
最終的に何百万人ものTikTokユーザーが#PlayWithPringlesチャレンジに参加し、プラットフォーム上で最もエンゲージメントの高いブランドキャンペーンのひとつとなりました。
まとめ
いかがでしたか?デジタルマーケティングはデジタル上で行われるため、
制限がほとんどなくアイデア次第ではオーディエンスと一緒に楽しむことができるキャンペーンをコスト0で生み出すことができるかもしれません。
しかし、それらを生み出すには各プラットフォームを理解して、オーディエンスの動きに合ったコミュニケーションを取らなければなりません。
これらのクリエイティブなソーシャルメディアキャンペーンにたくさん刺激を受けることも、アイデアをひらめきくには重要なことです。
たくさんインプットしたことですし、次はあなたのブランドのキャンペーンを考えてみませんか?