日本ではクリスマスというと、カップルで楽しむイベントとして認知されていますがそれでもクリスマスがもたらす経済効果は凄まじいものです。
調査によると、日本でのクリスマスによる経済効果は約6,700億円で、バレンタインやハロウィがもたらす額の約7倍もの数字となっているのです。
海外では日本以上の経済効果があることから、ホリデーシーズンに向けて多くの企業が戦略を練り、各社がバラエティーに富んだキャンペーンを毎年実施しています。
今記事ではそんな、季節ごとのマーケティング戦略構築に役立つポイントから、海外で話題となった各企業のクリスマスキャンペーン事例まで、
たくさんのアイデアを役立つ情報とともにご紹介いたします。
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ホリデーシーズンは海外のマーケターにとってどれほど大切なの?
海外では毎年、11月の第4木曜日の次の日のブラックフライデーが終わると、通りにはリースやクリスマスカラーの飾りが増え、人々の心をワクワクさせる音楽が流れ始めます。
最近では、街だけでなくソーシャルメディアの投稿、メルマガ、テレビCMなど…デジタルの世界までクリスマス一色になっていますよね。
日本ではハロウィン自体がまだ、文化として根付いていない為10/31が終わるとすぐに「次はクリスマスかぁ…」といった雰囲気にはなりませんが、
クリスマスが終わると、街が急にお正月を迎えるモードになることはありますよね。
冒頭でも述べたように、日本のクリスマスは”恋人と楽しむもの”として捉えられていますが、
海外のクリスマスは日本でいうお正月のようなもので、基本的には家族で過ごすものとされています。
そして、日本と海外ではクリスマスが経済に及ぼす効果にも大きな差があるため、企業やマーケター、広告業界の人々の力の入れ方も格段に違ってきます。
-アメリカにおけるクリスマスの経済効果
アメリカでは”ホリデーシーズン”と言うと、ブラックフライデーが終わってからクリスマスイブまでの約1ヵ月を指します。
アメリカの小売業界では、この期間だけで年間総売り上げの約20%がこの期間で生み出されるといわれています。
2020年のデータによると、コロナウイルスによるパンデミックで消費者の出費減少が予測されたにもかかわらず、
クリスマスシーズンの小売業の総売上高は約7,700億ドル、日本円にして約80兆円もの額が動いているのです。
画像出典:https://www.statista.com/statistics/243439/holiday-retail-sales-in-the-united-states/
キャンペーン施策を成功に導く3つのポイント
海外の素敵な事例を紹介する前に、海外のマーケター達が活用する、クリスマス・ホリデーシーズンのキャンペーン施策を成功に導くためのポイントをご紹介いたします。
クリスマスキャンペーンの準備は夏から?
「クリスマスは12月だから、施策を考え始めるにはハロウィンが終わってからでいいか。」
なんて、思っていませんか?
クリスマスやお正月などのイベントは、他のハロウィンやバレンタインと比べると大きなイベントです。
そのため、多くの消費者は1ヶ月前にはプレゼントや予定について考え始めるのです。
実際に、アメリカで行われた調査では、59%もの消費者が11月までに買い物を開始すると回答。
その理由として、「クリスマス直前の混雑を避けたい」「感染予防のため混雑を避けたい」「パンデミックによる生産不足・配達の遅れを考慮」があげられています。
このため、企業はクリスマスシーズンが始まる前には完璧な計画を立て、
消費者がプレゼントを検討し始める”購買プロセスの早い段階”で消費者と出会う必要があるのです。
勝負の場所はオンライン!
パンデミックの影響で日本でもEコマースの日常的な利用が当たり前になってきています。
ひと昔前だと、クリスマスシーズンには”クリスマスプレゼントを担いだお父さんが帰路を急ぐ”という絵がよくある光景でしたね。
しかし、現代では”指定した日に、確実に届く”ということもあり、ネットを使ってECサイトでクリスマスプレゼントや誕生日プレゼントを購入する人が増えています。
マイナビの実施した調査では、「子供へのクリスマスプレゼントはどこで買いますか?」と言う質問に対し、
1位 はネット通販で42.1%、2位 おもちゃ屋さん(22.6%)そして3位で 家電量販店(14.9%)という結果がでています。
子供へのクリスマスプレゼントだと、欲しいものが明確にわかっていることがほとんどですが、
恋人同士や両親へのプレゼントとなると何がいいか、購入する人が何かアイデアを考えないといけません。
そのようなアイデアを探す場としてもソーシャルメディアは多く活用されています。
アメリカでは、消費者の71%がホリデーシーズンのプレゼントを探すのにInstagramを使用しているようです。
購買を促進するためにも、消費者が商品を比較検討しやすいように事前にプレゼントになりうる商品の紹介記事やコンテンツをオンライン上で準備しておきましょう。
ソーシャルメディアには統一感を
画像出典:https://later.com/blog/holiday-marketing-campaign-checklist
ホリデーシーズンに消費が増えるのはなぜでしょう?
それは、私たち一人ひとりの「気持ち」が上がっているからです。
クリスマスらしい色合いや、流れてくる音楽に心がワクワクし、浮き足立ってしまう…そんな感覚ほど、人々のお財布の紐を緩めることはありません。
そう感じる季節感、特別な感情を作り出すのはマーケター、そしてクリエイティブ職の得意分野でしょう。
「特別な日だから…」「ちょっと贅沢に…」「自分にもご褒美を…」
こんな気分にさせるためにも、施策の構築、実施は計算されていなければなりません。
ホリデーキャンペーンを成功させるためには、事前に必要なソーシャルメディアのアセットをすべて準備することです。
例えば、インスタグラムを例に見てみましょう。
・12/25までの投稿分のアセット、キャプションコピーを先に準備しておく。
・スケジュールを組み、投稿予約もしておく。
・クリスマスが近づくにつれて、プレゼント企画などを実施。
・インフルエンサーとのコラボ
・クリスマス当日はライブ機能などを使用して、オーディエンスとリアルタイムのイベントを実施。
このように、最終日の”ライブイベント”に向けて徐々にエンゲージメントを高めるような投稿ができていれば、
クリスマスの1週間前に「クリスマスキャンペーン施策、どうしよう!何をすれば?
」と、慌てる必要がなくなりますよね。
エンゲージメントは徐々に高めることで、消費者のワクワクする気持ちも同じく高まってゆくはずです。
海外クリスマスキャンペーン事例20選
Apple(アップル)
動画リンク:https://youtu.be/Rx0om7rWhl0
このCMは、休暇中に家族を訪ねて旅をする一家の姿を描くという、とても親しみやすい形で始まります。
動画は2人の小さな娘と両親が離れた場所に住むおじいちゃんを訪れるシーンから始まります。
ホリデーシーズンは楽しいものですが、遠く離れた家族に会うため、私たちはみんな長い道を車や飛行機で移動しますよね。
その中で子供たちが少し小競り合いをしたり、退屈しちゃったり…
そのシーンのひとつひとつが見ている人に「あぁ、自分も子供の頃はこうだったな…」と、どこかノスタルジアを感じさせるのです。
そして、その度にipadが登場し子供たちは退屈を凌ぎます。
画像出典:https://osxdaily.com/2019/11/25/apple-releases-holiday-ad-the-surprise-for-2019-season/
しかし、この動画広告のポイントはいかに”私たちの平穏な生活をipadが支えているか”だけではありません。
動画の中で2人の娘は、妻を失ったおじいちゃんの悲しさに触れるのです。そして、2人でこっそり、おじいちゃんが喜ぶクリスマスプレゼントを作り始めるのです。
デジタルだからこそ、できること。
たとえそこに、愛する人が居なくても画面の中で私たちは一つになれます。
離れた場所でも、愛を感じることができるのです。
そして、それを可能にするのは?
それが、Appleなのです。
動画中、彼らは一度も”いかにApple製品が優れているか”を語らずして、Appleの良さを充分に伝えることができています。
ここに、Appleの作るブランディングの凄さが在るのだと思います。
-Coca-Cola(コカ・コーラ)
画像出典:https://vocabularyinchunks.wordpress.com/2020/12/12/this-christmas-give-something-only-you-can-give/
コカ・コーラのクリスマスCMでは、娘からのサンタへの手紙を届けるために全力を尽くすお父さんのストーリーで始まります。
お父さんは娘から預かった手紙をサンタクロースに渡すために
海を航海し、森を歩き、砂漠を走り、雪山を登る壮大なストーリーで動画が始まります…。
やっとの思いでたどり着いたものの、サンタさんはクリスマス休暇中。
どうしようもない状況だと思っていたら、サンタさんがコカ・コーラのブランドトラックに乗ってやってきて、お父さんを家に連れて行ってくれます。
家の前でお父さんが手紙を開くと、そこには「サンタさんへ クリスマスをお父さんと一緒に過ごせるようにしてほしいです。」と、娘のメッセージが。
締めのタグラインが、オーディエンスにクリスマスならではの温かさを感じさせてくれます。
「This Christmas, Give Something Only You Can Give」
今年のクリスマスは、あなたにしか与えられないものを贈ろう。
また、この動画の少しファンタジーな雰囲気にもコカ・コーラらしさを感じるかもしれません。
動画リンク:https://youtu.be/yg4Mq5EAEzw
-Erste Group Bank(エルステ・グループ銀行)
画像出典:https://www.branding.news/2020/12/07/erste-group-plays-the-symphony-of-love-and-care/
2018年、海外である銀行(Erste Group Bank)のホリデー広告が話題になったのはご存知でしょうか?
ほとんどの人がこの会社について知らなかったのにも関わら図、このショートフィルムはYouTubeで670万回以上再生され、
他のソーシャルメディアでも何百万人もの心を動かしました。
また、この動画がバズった理由として以下のことがあげられます。
・美しいビジュアルと音声
・言語の壁を越える”話し声なし”のアニメ
・商品でなく、彼らの大切にしたい思いを伝えている
ブランディングに寄ったキャンペーンこそ、人々が温かさや家族のつながりを感じるホリデーシーズンに打ち出すべきかもしれませんね。
動画リンク:https://youtu.be/vTjtgualL9E
-Walkers(ウォーカーズ)
動画リンク:https://youtu.be/WvuS3Xz_q-8
マライア・キャリーがクリスマスに求めるもの、それはWalkersのポテチ?!
クリスマスシーズンは”思いやりと分かち合い”の季節ですが、Walkersではそんな”優しい季節”にあえて”優しくなれないこと”を強調する広告を制作。
マライア・キャリーの「All I Want for Christmas Is You」のミュージックビデオを撮影した後、
マライア・キャリーはWalkersのチップスを食べようとする妖精役のスタッフと少し小競り合いをします。
「美味しいから、譲りたくない」という、すごくシンプルな演出ですが、マライア・キャリーの歌声が聞こえてくると、
面白い広告でもすぐに、なぜかクリスマスを感じてしまう…そんなアメリカらしいユーモアに富んだ広告になっています。
-Disney(ディズニー)
画像出典:https://mb.com.ph/2020/11/09/watch-disney-uks-2020-christmas-ad-centers-on-paskong-filipino/
動画リンク:https://youtu.be/tl57Gy5X_Kg
ディズニーは映画だけでなく、広告でも私たちの涙を誘います。
この動画広告はフィリピンの文化と歴史にフォーカスされていて、
動画のコメントでもディズニーがいかにそれぞれの国の”文化”をよく理解しているかが賞賛を集めています。
動画の冒頭だった少女はおばあちゃんになり、孫に伝統的な手芸を教えるのですが、
孫は大人になるにつれておばあちゃんと過ごすよりも自分の友達と出かけることを優先します。
おばあちゃんは自分の昔の思い出をたどりながらも、悲しさを我慢するのですが、孫は大切なことに気づくのでした。
歴史も、人との繋がりも誰かが紡いでいかないと、途切れてしまう。
例えそれが、家族であろうとも。
ディズニーはオーディエンスに彼らしかできない方法で、繋がりの大切さ、そして伝統を紡ぐことの大切さを教えてくれたのでした。
まとめ
いかがだったでしょうか?クリスマスは日本独自の文化ではありませんが、大きなイベントのひとつとして定着してきています。
暖かい雰囲気の中で人々の心が動きやすい時期だからこそ、戦略的にかつクリエイティブにアプローチできれば、
たくさんの消費者があなたのブランドのファンになるはずです!ぜひ、これらのアイデアやヒントを次回のクリスマス、
ホリデーシーズンのマーケティング施策に活用してみてくださいね。