どの業界のプロフェッショナルも最初はみんなビギナーでした。
マーケティングの世界もそうなのです。顧客の動き、マーケットの動きを読み解くため、最初はわからない用語を調べ、学び続けなければなりません。
しかし、用語を理解したとしてもそれらの使い方はひとつではなく、応用させなければならないことがほとんどです。
その為にも用語の意味だけでなく、実際の使い方や応用方法を知っていく必要があります。
今記事では、そんな「学びを深めたいマーケター」の方のために、用語について詳しく解説し、応用方法などもご紹介いたします。
今回の用語はマーケターなら誰でも耳にしたことがある「パーソナライズマーケティング」です。
では、早速始めていきましょう。
CONTENTS
パーソナライズマーケティングとは?
パーソナライズマーケティングとは、アナリティクスなどの顧客情報を分析できる機能を利用して、
広告メッセージや製品体験をそれぞれの顧客にとってユニークなものに感じられるようにすることをいいます。
パーソナライズマーケティングでは、すべての顧客に送られる同じマーケティングメールに顧客名を挿入するだけではありません。
適切な人に、適切なタイミングで、適切なメッセージを届けることがパーソナライズマーケティング戦略における最大の強みなのです。
パーソナライズする要素として、顧客の興味関心やショッピングの好み、購入履歴などが含まれます。
このデータを使って、Eメールや広告、その他のプラットフォームで受け取るコンテンツをカスタマイズすることで、
顧客にぴったりの情報を提示することができるのがパーソナライズマーケティングの手法なのです。
パーソナライズのトレンド
企業がこの戦略をよりよく理解するにつれ、パーソナライゼーションは顧客とのコミュニケーションのさまざまな形態に影響を与えるようになりました。
ここでは、最近の傾向をいくつかご紹介します。
顧客ごとにカスタムされたEメール
パーソナライズされたEメールを開封する確率は29%高く、一般的なEメールと比較して6倍以上の取引を促進しています。
それぞれの人に合った広告の増加
パーソナライゼーションの台頭により、消費者は一般的なマス向けの広告をますます受け入れにくくなくなっています。
人間味のないコミュニケーションやショッピング体験は、顧客の4分の3近くを苛立たせているのです。
一方、70%以上の買い物客が、自分の興味に合わせてカスタマイズされたマーケティングに反応するという調査結果も出てます。
パーソナライズマーケティングのベネフィットとは?
パーソナライズマーケティングを正しい方法で行えば、企業と顧客の双方がベネフィットを得ることができます。
ここでは、パーソナライズマーケティングの主なメリットを見ていきましょう。
より満足度の高いカスタマーエクスペリエンス
人々は自分のニーズを理解してくれていると感じれば感じるほど、その人に問題を託したくなるものです。
パーソナライズされた顧客体験を提供することで、顧客は「あなたが彼らの悩みを理解している」ということを知ることができます。
そうすれば、カスタマージャーニー全体が容易になり、購買プロセスが取引から「関係」へと変化します。
この関係を構築することで、顧客はあなたのおすすめや推薦を信頼するようになり、あなたが必要とするものがあるときに、あなたのところへ行く可能性が高くなるのです。
顧客ロイヤリティの向上
顧客を満足させることの価値はご存知の通りです。
結局のところ、企業のビジネスの65%はリピーターから生まれるのです。
パーソナライゼーションは、顧客のロイヤリティを獲得することもできます。
40%以上の消費者が、「パーソナライズされたショッピング体験を提供する企業のリピーターになりたい」と答え、
頻繁に買い物をする消費者の80%が「パーソナライズされたブランドからしか買い物をしない」と答えています。
マーケティング投資に対するリターンの向上
パーソナライズマーケティングは、従来の広告よりも費用対効果の高い戦略です。
一般的な広告を出すと、何割かの人はその商品に用がないことになるので、投資収益率(ROI)はそこまで良くないかもしれません。
しかし、パーソナライズされたレコメンデーションは、顧客の購買意欲を高めることができます。
調査対象となった買い物客のほぼ半数が、ブランドの提案に基づいて衝動買いをし、そのうちの85%の人がその買い物に満足しています。
世界有数のマーケティングインサイト制作会社であるMcKinsey & Companyによると、
パーソナライズドマーケティングによって売上が10%(またはそれ以上)増加し、マーケティングに費やした金額のROIが最大で8倍になる可能性が見込まれるということです。
パーソナライズマーケティングの課題と解決方法
マーケターを対象とした調査によると、約3分の2の人が、データに基づくパーソナライゼーションは、実行が最も困難なデジタル戦略であると回答しています。
しかし、そんなことで悩んではいけません。簡単ではないかもしれませんが、パーソナライズマーケティングはやるだけの価値が十分にあります。
ここでは、パーソナライズマーケティングにおける課題とその乗り越え方を紹介します。
顧客に迷惑をかけずにデータを収集する。
真にパーソナライズされた体験を提供するには、ある製品やシナリオに対して各人がどのような反応をするかを正確に予測する必要があります。つまり、CRMに保存されている顧客に関するデータを収集する必要がありますが、これは難しいことです。
データを収集するための基本的なチャネルは2つあります。
・アナリティクス
アナリティクスは、人々の行動を追跡します。
サイト上に配置されたコード片は、顧客体験を侵害しませんが、最近閲覧した製品の広告が表示されると不快に思う顧客もいます。
・アンケートフォーム
顧客アンケートやフォームは、より透明性が高く、多くのお客様が利用しやすいものですが、記入に時間がかかるのが難点です。
また、質問数が多いフォームほど、参加者が最後まで記入する可能性は低くなります。
透明性と利便性を両立させるのは難しいことですが、不可能なことではありません。
顧客データの集め方に変更を加える前に、”もし自分が顧客だったら、私はこれを実際に評価するだろうか?それとも私を悩ませたり、
気味悪がらせたりするだろうか?”と自問してみてください。
このように、常にお客様の立場に立って考えることが素敵な顧客体験を生み出すのです。
いい塩梅の広告を制作する。
消費者の中には、ブランドが自分の興味に訴えかけてくることを好む人がいる一方で、ブランドが強く出過ぎると嫌がる人もいます。
ある調査では、リターゲティング広告を評価する消費者はわずか6%でした。
そうなのです、広告でもマーケティングでもバランスが大事なのです。
パーソナライズされたコンテンツで提供している価値を明確に示し、攻撃的なターゲティング広告を避ける必要があります。
同時に、オーディエンスが心配になるほどにプライバシーに焦点を当てることを避け、彼らのプライバシー尊重を強調するようにしましょう。
十分なリソースを割り当てる。
効果的なパーソナライズマーケティング戦略を展開するためには、企業はスタッフ、資金、そして時間を確保する必要があります。
自動化は、パーソナライゼーションにかかる時間と人件費の削減に大いに役立ちますが、それでも全体的な戦略は、人の手によるものである必要があります。
パーソナライズされたマーケティングは、計画され、ターゲットが設定され、追跡される必要があります。
データ集計のような細かい作業は技術的に可能ですが、どのデータが重要で、それをどのように使うかを私たち人間が考えなければなりません。
そのためにも、顧客がどの程度情報を共有することに前向きなのか、どのタイミングで情報を収集し、
どのタイミングでパーソナライズされたメッセージを送信するのかを把握する必要があるのです。
また、最も効果的なチャネルにリソースを投入できるよう、何が有効かを追跡する必要があります。
それができるのは人間だけです。マーケティングチームに十分なリソースがあることを確認し、すべてをアルゴリズムに依存しないようにしましょう。
成功するパーソナライズマーケティング戦略の作り方
取り組みの陣頭指揮をとるチームを作る
パーソナライゼーション戦略を構築し、モニタリングするためには、以下のような熟練した専門家によるチームが必要です。
・テック技術に精通した人材
・ユースケース開発の専門家
・質問に対応する顧客対応のプロフェッショナル
・パーソナライズの経験を持つ戦略的キャンペーンデザイナー
また、魅力的なデザインで質の高いコンテンツを制作するために、経営幹部と連携して計画を立てましょう。
情報収集とプライバシーの尊重
前述のとおり、顧客はパーソナライズされた体験を望んでいますが、多くの人は自分の個人情報が世に出ることに警戒心を抱いています。
どのようなデータを追跡するのが最も効果的かを考え、お客様にできる限り最高の体験を提供するためのデータに焦点を当てることを忘れないでください。
もし、あなたが消費者の立場なら、どちらをより信頼しますか?
・電子メールの末尾に「プライバシーに配慮しています」とだけ書いてある会社
・ウェルカムメールに、あなたの情報がどのように使われるのか、その見返りは何なのか、希望すればどのようにオプトアウトできるのか、詳細な内訳を記載している会社
2社目の方が信頼できる可能性が圧倒的に高いですよね。
その信頼は、あなたとその企業との関係が深まり、その企業があなたに高品質のパーソナライズされたコンテンツだけを送るという約束を守るにつれて、より強固なものになるでしょう。
データを使って、視聴者をセグメント化する。
顧客に関する十分なデータがあれば、次のような基準で連絡先を整理することができます。
・デモグラフィック・データ
・消費レベル
・製品への興味
・購買パターン
これらのセグメントのすべてがマーケティングに関連するとは限らないので、どのような特徴があれば、重要なメッセージを送ることができるかを決めましょう。
パーソナライズする場所を選ぶ。
パーソナライズのメリットを享受できるプラットフォームは数多くあります。
自動配信メール、リマーケティング広告、さらにはランディングページも送信可能です。
すべては、あなたの顧客がどこで時間を過ごしているかに依存します。データを使って、最適な配置を考えましょう。
まとめ
いかでしたか?今回はパーソナライズマーケティングについて詳しくご紹介いたしました。
パーソナライズされた顧客体験はインターネットが普及する現代で当たり前となってきていますが、その需要と進化はまだまだ止まるところを知りません。
消費者はよりフリクションレスでスムーズなショッピング体験を求めており、それらを実現するためにもパーソナライズされたコミュニケーションは欠かせないのです。
今回ご紹介したポイントをうまくあなたのマーケティングに取り入れて、顧客ともっと深くつながるマーケティング施策の実施にご活用ください!