マーケティング活動とは、個人または組織が特定のマーケティング成果を達成するために行う行動のことを言います。
また、マーケティング活動の数は、マーケティング目標の数だけ存在すると考えても良いでしょう。
これらの活動は、どのような方法で、どのような市場に対して行うかによって効果が異なるため、「そのまま」評価することが極めて難しいのです。
しかし、一方で多くの企業に大きな成果をもたらし、中には想像以上の効果をもたらしたマーケティング活動も存在します。
今記事では、そのようなマーケティング活動を4つご紹介するだけでなく、それらを実際にテストしたブランドの事例もご紹介致します。
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プロダクト・マーケット・フィットの発見の重要性
PMF(プロダクト・マーケット・フィット)とは、ある製品が高い潜在能力を持つ市場において、既存の需要を満たすことができるかを確認することを言います。
PMFが達成されているかどうかは、人々が製品を買いたいと思い、積極的に使用し、他の人に薦めるようになることです。
PMFはマーケティングの範囲外であり、マーケティングのパフォーマンスとは無関係であると考える人もいるかもしれません。
しかし、実際にはマーケティングの範囲内にあるのです。理由は以下のふたつが挙げられます。
ひとつめは、マーケット調査なくして消費者のニーズとウォンツに応えることのできる、優れた製品を作ることはできないからです。
マーケットにおいて、多くの消費者が必要としていない、もしくは競合他社と全く同じものを作っていては、「売れる」商品にはならないかもしれません。
これは、お客様の立場に立って考えてみると、とても分かりやすいことです。
ある会社が、新しいタイプの水素自動車を売ろうと考えています。しかし、近くに水素ステーションがないとします。
では、どのようなマーケティングをすれば、お客さまはその車を買う気になるのでしょうか。
環境問題への意識が高い層にアプローチするだけでは、あまりにもコストがかかりすぎてしまい、効率がよくないですし、
水素自動車を快適に乗ってもらう為には水素ステーションが無いと現実的にそのニーズを生み出すことができないのです。
このように、商品の販売に当たり何が必要で何が足りていないのか、そしてそれらをどのように改善できるのかを明確にすることは非常に重要なことなのです。
PMFがなければ、持続的な成長を望むことが難しく、規模を拡大しても時間とお金を浪費してしまうだけかもしれません。
つまり、PMFはビジネスにとって、家にとっての基礎のようなものなのです。
PMFを実現するためには、基本的に5つのステップがあります。その5つのステップの核となるのが、MVP(Minimum Viable Product)の構築です。
MVPとは、実際のユーザーとの対話を通じて、製品の中核機能がマーケットの需要を満たせるかどうかをテストする「製品開発」の段階のことを言います。
Spotifyはこのようにしてスタートし、現在では540億ドルの価値を持つビジネスとなっています。
Spotifyのクリエイターたちは、人々が夢見る機能をすべて備えた完璧な製品を「ビッグバン」的に発売するのではなく、
MVPを作り、科学者が仮説を検証するのと同じようにそれをテストすることにしたのです。
Spotifyの場合、彼らは音楽をストリーミングするというアイデアと、消費者向けの技術でそのパフォーマンスをテストしました。
チームは、それらをテストするための複雑なマーケット調査も行うこともなく、チームメンバーの家族や友人からのフィードバックを集めて改良を重ねていったのでした。
その後、彼らはそのMVPをレコード会社に持って行き、このプラットフォームにアーティストの音楽をストックするようにアプローチしました。
結果的に現在、世界中でSpotifyは大人気の音楽ストリーミングアプリとなっています。
口コミマーケティングを戦略に導入する方法
World-Of-Mouth-Marketingとは、口コミマーケティング(WOMM)のことで、商品・サービス・企業に関する自然な議論に影響を与え、それを促進するプロセスのことである。
つまり、口コミに影響を与えるとは、人々に「話す理由を与える」ことなのです。
口コミというと、少しは古い感じがするかもしれませんが、マーケティング理論としては決してそうではありません。
また、デジタル時代には、測定可能な新しい口コミの形が生まれたことも忘れてはなりません。
・ソーシャルメディア上の会話や共有
・ユーザーによるレビューサイト
・ブランドや製品に関するユーザー生成コンテンツ(例:ブランドのハッシュタグが付いたInstagramの写真など)
このように、口コミは強力なマーケティングチャネルであるにもかかわらず、それらを意図的に発生させることが難しいと考えられがちです。
しかし、それらはまったくコントロールできないわけではありません。
なぜなら、マーケティング担当者は、人々が自分たちのブランドについて何を言うかを予測することはできませんが、
ブランドに関連した会話をスタートさせるための仕掛けを作ることはできるのです。
では、どのようにして口コミマーケティングを始めれば良いのでしょうか?
ユーザー作成コンテンツ(UGC)の投稿を促す
UGCとは、実際の消費者がブランドや商品について作成し、主にソーシャルメディアなどで共有されるコンテンツのことを言います。
UGCの存在は他の消費者にとってリアルなもので、信頼を築けるだけでなく、マーケティング担当者にとっても驚きや重要なインサイトの発見にも役立ちます。
では、UGCの効果を数字で見ていきましょう。
・ミレニアル世代の86%は、UGCはブランドやサービスの品質を示す良い指標であると回答しています。
・UGC動画は、販売効果を20%向上させることができる。
・ミレニアル世代は1日に5.4時間、仲間が作ったコンテンツに触れている
では、どのようにしてユーザーに自らコンテンツを制作、投稿して貰えば良いのでしょうか?
・ユーザーが作成したコンテンツを識別するためのユニークなハッシュタグを用意する。
・写真、ビデオ、GIFを作成し、ソーシャルメディア上で共有することを奨励する。
・無料ギフト、割引、またはフィルターなどの特別なギフトを提供する。
・コミュニティ意識を演出する。
・ユーザー作成コンテンツをウェブサイトやメインプロフィールに大きく掲載する。
また、UGCはブランドが主張する性能や、品質、価値を他のユーザーに再確認させ、消費者が安心してあなたと取引できるようにするのに役立ちます。
これはソーシャルプルーフ(社会的証明)とも呼ばれています。
お客様の声は、文章でもビデオでもよく、あなたのWebサイトで公開することもできますし、他のサイトから集めることもできます。
インセンティブを提供する
顧客に他の人と共有する「理由」を与えることで、口コミマーケティングを急増させることは可能です。
その「理由」となる部分がインセンティブなのです。
大小にかかわらず、人は何らかの見返りがあれば、より積極的に何かをしようとするものです。
そこで、紹介と引き換えに、消費者に割引や無料ギフトを提供することを検討してみても良いかもしれません。
業界のインフルエンサーやソートリーダーとのコネクション
インフルエンサーは、その名の通り、人々から強い支持を集め、その中の人々の信念や行動に影響を与える力を持つ個人を指します。
すでに確立された評判があるため、インフルエンサーからの口コミマーケティングが価値があるのは間違いないでしょう。
しかし、インフルエンサーや著名人に商品の口コミをしてもらう場合は、必ずその商品が提供であることを公言してもらわなければなりません。
そうでないと、ステルスマーケティングになってしまうので、多くの消費者から信頼を失いかねません。
公言してもらった上で多くのファンを抱えるインフルエンサーにあなたの商品を宣伝してもらうことは、他の人々の口コミを促進させるのに良い効果を発揮するかもしれません。
実際に40%の人が、Instagram、Twitter、YouTubeなどでインフルエンサーが何かしらの商品を使っているのを見て、オンラインで商品を購入したことがあると答えています。
コンテンツマーケティングマシンの開発
マーケティング担当者は皆、「いかに人を惹きつけ、彼らを顧客に変えるか」という同じ課題に直面しています。
もちろん、そのための特効薬はありません。
しかし、それに近いマーケティングがあるとすれば、コンテンツマーケティングはそれと最も近い形態のひとつなのではないでしょうか?
なぜなら、コンテンツマーケティングは、以下の3つのことを実現できるからです。
・マーケティングファネル全体を牽引する
・複合的な成果をもたらす
・自己強化する
一部のファネルだけでなく、マーケティングファネル全体を動かすことで、ブログ記事、ビデオなどのコンテンツが、
ターゲットオーディエンスとのコミュニケーションにおいて、さまざまな役割を果たすことがわかります。
そして、さらに良いことがあります。
多くの場合、1つのコンテンツが異なるファネルのステージに対応することができるのです。
このようなコンテンツが最も強力な理由は、Googleのような検索エンジンから人々を引き寄せる可能性があるということでしょう。
これは、膨大な量のオーガニックトラフィックにつながり、もちろん、ビジネスの大きな可能性をもたらします。
また、オーガニックで発生するトラフィックは有料で出す広告とは異なり、
オーディエンスが自発的にあなたのコンテンツに惹きつけられて発生するので、彼らのあなたの提供しているサービスに対する関心は高い状態です。
ですので、費用対効果も考えると、コンテンツマーケティングは最善策と言っても過言ではありません。
マーケット調査を実施する
マーケット調査とは、あるマーケットに関する情報を収集し、分析し、解釈するプロセスのことを言います。
マーケティング担当者はこのようにして、潜在顧客、競合他社、業界動向など、マーケティング戦略にとって重要なデータを入手しているのです。
マーケット調査の重要性は、過大評価することはできません。
現代、ビジネスにおいてデータは力であり、それはマーケティングに関しても同じことが言えます。
実際にデータはあらゆる意思決定の出発点であるべきなのです。
そして、もしあなたが行動を起こすのに十分なデータを持っていないなら、次の施策へ向けて行動を起こす前に十分なデータを取得することをおすすめします。
ここでは、データを取得するための一般的な方法をいくつかご紹介いたします。
・インタビュー
ユーザー、潜在顧客、その他マーケットに関する見識を持つ人々(例:販売代理店)と、直接会って話をする。
・アンケート
最も一般的で費用対効果の高いマーケット調査手法のひとつで、オンラインで行われることが多い。
アンケートでは、機能の利便性やユーザーの満足度などについて投票します。
・競合分析
競合他社を分析することで、あなたの市場で何が有効で何が有効でないかをすぐに知ることができます。
また、競合他社は素晴らしいベンチマークになります。
・商業データ分析
市場レポートや業界の洞察を考えてみてください。マーケットの規模、マーケット動向、業界関係者の見識などを知ることができます。
マーケット調査によって成功を収めた企業といえば、LEGOがまさに成功した例のひとつでしょう。
ある調査で、LEGOのユーザーのうち女性はわずか9%であることが判明しました。LEGOは、何十年もその市場セグメントに間違った対処をしてきたことを理解したのでした。
しかし、問題の発見はチャンスでもあるため、LEGOはその未開拓のマーケットによりよくアプローチする方法を見つけることに着手しました。
そして、3,500人の女の子とその母親を対象とした大規模な調査を実施し、女の子たちの遊び方の習慣を理解することにしたのでした。
また、LEGOはこの調査を完了するのに4年の歳月を費やしたのでした。
その結果、女の子は男の子とは異なる種類の遊びを好むということがわかりました。
つまり、警察署ではなくヘアサロンなどといった異なる種類のシナリオや、より鮮やかな色、そしてレゴの定番商品よりも表情豊かなフィギュアを好むことがわかったのです。
そうして2012年に誕生したのが「LEGO・FRIENDS」でした。
画像引用元:https://www.lego.com/ja-jp/product/surfer-beachfront-41693
LEGOがこの商品を発売した当初は、ジェンダーに対するステレオイメージを強めてしまうという批判がありました。
しかし、この新商品は瞬く間にヒット商品になったのでした。
現在も「LEGO FRIENDS」はLEGO社にとって最大のヒット商品のひとつでした。
このセットが発売された年、LEGOの純利益は35%増加したのでした。
その後数年間、「LEGO FRIENDS」はLEGOが販売するセット商品のテーマの中でトップ5に入る売れ行きを見せていました。
マーケティング上の問題を解決しようとしている場合でも、マーケティングで新しい機会を探している場合でも、答えはすでにそこにある可能性があります。
しかし、マーケット調査に手を伸ばさない限り、その答えは見つからないでしょう。
マーケット調査は、大がかりで費用のかかるプロジェクトである必要はないのです。
まずはできるところから調査を進めていきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は実際にビジネスで役に立つマーケティング活動についてご紹介いたしました。
多くの企業がこれらの活動に投資し、素晴らしい結果を出しているのを見ると、マーケティング担当者はこれらのマーケティング戦略を試さずにはいられないでしょう。
もちろん、効果的なマーケティング活動はこれだけではありません。
あなたのビジネスに合ったマーケティング活動を探るためにも、まずは確度の高い施策から試していきましょう。