あなたは「クリエイターエコノミー」という言葉を聞いたことはありますか?
クリエイターエコノミーとは、YouTuberやインスタグラマー、ゲーム配信者などに限らず、アーティストやジャーナリスト、
フリーランスなど様々な個人クリエイターが自身のスキルによって収益化をおこなう経済圏のことを言います。
デジタル化が加速する今日、マーケティングやソーシャルメディアに関わる人々だけでなく、多くのビジネスパーソンがクリエイターエコノミーに注目しています。
本記事では、YouTubeのクリエイター・パートナーシップ担当 シニア・ディレクターであるジェイミー・バーン氏が語る、
「YouTubeにおけるクリエイターとクリエイターエコノミーの進化と展望」についてご紹介いたします。
CONTENTS
シングルプラットフォームクリエイターの終息
ほとんどの人がスマートフォンを日常生活の中で使用する現代、クリエイターにとって、今はとても「いい時代」です。
多くの人々が常に新しいコンテンツを求め、クリエイターは日々、試行錯誤してコンテンツを作り続けています。
バーン氏は「現代のクリエイターは、新しいレベルの影響力と力を持つようになりました」と説明します。
しかし、この「急激な上昇」に問題がないわけではありません。
その最たるものが、「ひとつのプラットフォームで有名になるだけでは十分で無い」ということです。
現代では、すべてのクリエイターがマルチプラットフォームであることを期待され、またそうする必要が出てきているのです。
「2年前なら、YouTuberかInstagrammerのどちらかであるだけで十分でした。
しかし、今日のデジタル界において マルチにプラットフォームを活用することは、クリエイターとして当たり前のことなのです。」とバーン氏は説明します。
これはクリエイターにとって大きな課題なのです。
なぜなら、クリエイターは制作とエンゲージメントの両方をどのようにスケールさせるかを考えなければならないからです。
各プラットフォームに適したアウトプット、各プラットフォームでのファンとのエンゲージメント、各チャンネルでの効果的なマネタイズなど。
ひとつのプラットフォームでもこれらを考え、極めることは難しいのに、それらを複数プラットフォームで成功させなければならないのです。
しかし、バーン氏はこの課題にチャンスを見出しています。
例えば、多くのクリエイターにとってコンテンツを各ソーシャルメディアに投稿することは大きな労力になります。
しかし、同時にこうしたマルチにプラットフォームを活用するクリエイターのために、簡単にコンテンツの投稿を管理、分析できるサービスなども増えています。
これはクリエイターをサポートするためでもありますが、それらがまた新しい経済効果を生み出しているのです。
YouTubeにおけるクリエイターの進化
バーン氏は、過去15年間にわたりYouTubeのクリエイターエコノミーの進化を近くで見てきました。
そして、このプラットフォームで次に何が起こるかについて、いくつかの考えを持っています。
特に、デジタルネイティブでもあるGenZ世代ユーザーの台頭と、デジタルファーストのクリエイターとオーディエンスのコミュニティがYouTubeに与える影響に注目しています。
バーン氏はは、YouTubeのクリエイターエコシステムは大きく4つのタイプに分類されると予測しています。
・デジタルネイティブなカジュアルクリエイター
・短編コンテンツクリエーター
・ハイブリッドクリエイター
・長編コンテンツクリエイター
後者の3つのカテゴリーは、私たちが最もよく連想する専業タイプのクリエイターですが、バーン氏はそれよりも よりカジュアルなクリエイターの居場所もあると見ています。
「彼ら(デジタルネイティブなカジュアルクリエイター)は、面白い瞬間を捉えて、それでバイラルになるような人たちです。
彼らは長期的に人気を継続できるクリエイターにはなれないでしょうが、15分間で有名になる可能性は秘めています。」と、バーン氏は言います。
また、短編コンテンツ専門のクリエイターが、ハイブリッドや長編コンテンツを制作するクリエイターへ進化してゆく未来も想像しています。
これは、Vineで成功したスターたちが、そのプラットフォームのサービスが終了した時にYouTubeに大移動したのと全く同じ現象です。
「VineからYoutubeに移動したクリエイターの多くは、十数秒という秒数で面白く、物語を語ることができる優れたストーリーテラーでした。
だからこそ、彼らはこのYoutubeというプラットフォームで人気のクリエイターとなることができたのです。」
また、バーン氏はYouTube ShortsがVineと同じような役割を果たし、より短編動画に特化したコンテンツ制作のためのファームチームのようなものだと考えています。
「YouTubeで再び見られるようになるのは、カジュアルな、Youtube Shortsのみのクリエイターだと思います」と彼は説明します。
「また、両方の世界で活躍するハイブリッドなクリエイターも登場するでしょう。
そして、純粋に動画投稿を楽しむ、映画プロダクションのような長編動画のクリエイターも登場するでしょう。」
YouTubeはどのような取り組みをしている?
バーン氏によると、彼のチームは組織の他のメンバーのためにクリエイターの声を伝えることに非常に注力しているとのことです。
常にクリエイターのニーズを掘り起こし、それを他のチームや会社全体に共有することで、ニーズが満たされているかどうかを確認するためでもあります。
そのため、YouTube Partner Programには200万人のクリエイターが参加しており、特にここではマネタイズに焦点を絞りました。
「クリエイターを成功に導くための強力なマネタイズツールを揃えることに、私たちYoutubeは本当に全力を注いでいます」と彼は言います。
「クリエイターは、自分にとって最適な、そして自分たちのコミュニティにとって最適な、マネタイズオプションのポートフォリオを構築することができるようになるのです。
私たちは、クリエイターに力を与え、プラットフォーム上で簡単に使いこなすことのできるビジネスツールキットを提供しようとしているのです。」
これには広告も含まれますが、それをはるかに超えてゆくものなのです。
YouTubeでお金を稼ぐ方法は現在10種類あり、過去3年間だけでも彼らはクリエイター、アーティスト、メディア企業に対して300億ドル以上を支払っています。
そのひとつがクリエイターファンドで、たとえば、新しい短編動画機能の利用をクリエイターに奨励する「Shorts Fund」などがあります。
もうひとつは、バーン氏のチームが「オルタナティブ・マネタイズ」と呼ぶオプションです。
YouTubeは現在、チャンネルメンバーシップや、オーディエンスが動画を見ながらクリエイターにチップを渡すことができるSuper Thanksなど、
クリエイターがプラットフォーム上でマネタイズするための9つの方法を提供しています。
YouTubeがプラットフォームとして機能するためには、クリエイターの存在が必要不可欠です。
だからこそ、Youtubeは多くのクリエイターがベストを尽くせるように、彼らを幸せにすることに専念しているのです。
クリエイターエコノミーはマーケターなしには成り立たない
デトックスティーの無様な 「スポンサー投稿」 を見たことがある人は、クリエイターには広告主がいないほうがいいと感じていることでしょう。
しかし、バーン氏は、YouTubeのエコシステムとクリエイターエコノミー全体にとって、マーケターの存在は重要だと唱えているのです。
クリエイターのコミュニティには、実際には3つの構成員がいます。
クリエイター、ファン、そして広告主です。
そして、これらは相互利益システムでもあります。
なぜかというと、広告主はクリエイターに収益をもたらし、クリエイターはコンテンツへの投資や制作チームの雇用、
作品のクオリティや洗練度を高めるためにそれらを利用することができます。
そして、クリエイターがマーケッター(ブランド)に提供するものは、素晴らしいリーチなのです。
そして何より、ファンはお金を払わなくても素晴らしいコンテンツを消費することができるという恩恵を手にしています。
ですので、いちオーディエンスとしては「スポンサー動画ばかり…」と思うこともあるかもしれませんが、実際にそれらのサポートがなくなってしまうと多くのクリエイターが苦しむ状況が生まれてしまうのです。
しかし、注意すべき点も存在するとバーン氏は付け加えます。
「ここで重要なのは、ブランドがクリエイターと”適切”に連携することです。
一方的にブランドのメッセージをクリエイターに押し付けたり、彼らの個性を無視したリクエストをしてしまうと、クリエイターのコンテンツの魅力を損ないかねません。」
クリエイターに自由を与え、彼らのコンテンツに製品やサービスを本物のオーガニックな感覚で取り入れることは、彼らのフォロワーにとってより良い経験になるだけでなく、より良いビジネス成果を生み出すことになるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回はYouTubeにおけるクリエイターとクリエイターエコノミーの進化と展望をご紹介いたしました。
Youtubeにおけるクリエイターエコノミーは止まることを知りません。
そしてYoutubeでクリエイターが増えてゆくと同時に、マーケター視点で考えると、さまざまな層の消費者にリーチできる可能性も広がってゆくのです。
今後もクリエイターエコノミーの行方に目が離せません!