マーケティング施策の中でここ数年、人気が落ちることなく注目度が高まる一方の動画です。
しかし、動画を活用した施策ではどうしても視聴数を稼ぐことが難しいという大きなハードルが存在しています。
TikTokやInstagramのリールだとまだ秒数が短いことが多いため、再生回数の面では比較的大きな数字を達成できるかもしれません。
しかし、少し長編の動画が多くアップされているYoutubeとなると、どうしても再生回数を稼ぐこと、動画視聴のエンゲージメントを稼ぐことが難しくなってきます。
今記事では、「ストリーテリング」にフォーカスしたYoutubeにおける「見られる」動画の作り方をご紹介いたします。
Youtubeを活用して動画マーケティングを行いたい!でも、なかなか再生回数が伸びなくて…と悩んでいるマーケターやソーシャル担当者の方は必見です!
CONTENTS
YouTube動画で「ストーリー」が必要な理由
ストーリーは、オーディエンスとコンテンツの間に感情的なつながりを生み出す強力な要素です。
例えば、商品の使い方など単純な事柄を説明するにしても、そこにオーディエンスが自分ごと化しやすいエピソードや比喩が入っているだけで、
すぐにそのストーリーや趣旨を理解することができるのです。
何かを体験するための最良の方法が自分の肌で感じることですが、優れたストーリーテラーの話を聞くということは、
同じように聞くことでそれらを「体験する」ことができるのです。
また、マーケティング的な側面から考えると、伝えたいメッセージや事柄をストーリーとしてうまく構成された動画でオーディエンスに届けることは、
彼らにその商品やサービスがある生活や瞬間を想像してもらいやすくなるのです。
また、Youtubeは動画の前に強制的に表示される広告が流れることが多い為、
Youtubeに居る多くのオーディエンスは露骨な広告やプロモーションに嫌悪感を示すことがあります。
それは広告だけではなく、コンテンツとしてでも同じことが言えるでしょう。
あからさまな宣伝や商品の紹介から始まる動画では、オーディエンスはすぐに「あ、広告だな。」「何かの宣伝だな。」と感じてしまい、動画を閉じてしまうかもしれません。
しかし、出だしから優れたストーリーを語ることで、オーディエンスはリラックスできるだけでなく、エンターテイメントとしてコンテンツを楽しむことができるのです。
また、ストーリーを活用することで脳に化学的な反応を与えることができるのです。
研究では優れた物語を聴くと、脳内の特定の化学物質が放出されるというのです。
例えば、優れたストーリーを聞いたり、そのストーリーに共感したり、同情を感じることで放出されるオキシトシンには、
幸せな気分になったり、ストレス緩和や、他者への信頼が増し、絆を深めたいという思いが高まると言われています。
この「信頼感が増し、絆を深めたい」という思いはブランドにおいて顧客とつながりを築く上で重要な要素になってきます。
これらの感情が後々、そのブランドの商品の購入を選択することに繋がったり、他の人にそのブランドをおすすめするきっかけになったりするのです。
また、ストーリーを語ることで、笑いや楽しい時間に関連するエンドルフィンや、幸せの薬であるフェニルエチルアミンが分泌されます。
そして、人は幸せを感じると、それらをもっと欲しがるようになるのです。
ですので、どんな小さなコンテンツにもストーリーを持たせるようにしましょう。
そうすることでオーディエンスはブランドにエモーショナルレベルでつながりを感じようになるでしょう。
では、具体的なストーリーの活用方法を見ていきましょう。
Youtube動画に必ず含まれるべき重要な要素とは?
Youtubeにおいて大切なこと、それはサムネイル、タイトル、そして開始5秒以内でのフックです。
サムネイルやタイトルはクリックして動画を見るきっかけとなり、開始5秒以内のフックはその動画を見続けるか、やめるかの選択に大きく直結します。
ですので、サムネイルやタイトルはインパクトがあったり「なんだろう?」と、オーディエンスを思わせるものでなければなりません。
また、開始数秒内のフックは一度そこでオーディエンスを引き止めて、
そこから何度も話に強弱をつけなければ、すぐにオーディエンスは離脱してしまいます。
また、多くのマーケターは、最初の数秒で動画のタイトルを繰り返すことがありますが、これではかえって離脱率が高くなってしまうと言われています。
また、今回紹介するポイントは全て世の中で有名になっている映画や小説、ドラマに多く共通することだと気づくかもしれません。
ストーリーテリングは、単に手順を並べたり、新しいテクニックやコンセプトをただ単に説明するのではなく、
話の繋がりや関係性を構築し、オーディエンスとの繋がりを生み出すことが目的です。
また、これらのテクニックはYouTube用の長編ビデオを制作する場合でも、YouTube ShortsやTikTokなどの短いビデオを制作する場合でも、非常に有効なのです。
自己紹介の重要性
サムネイルをクリックして動画に映るあなたを見るほとんどのオーディエンスはこう思うでしょう。
「動画の中の人は誰?」
彼らの疑問に応えるためにも、そして高いエンゲージメントを得るためにも、まずはあなたが何者なのかをオーディエンスに紹介しましょう。
多くの場合、動画では話をしたりしている人がメインキャラクターになります。
あなたの全てを話す必要はありませんが、少しあなた自身のキャラクターを見せたり、
どのような人物なのかを説明することはオーディエンスとの心理的距離を縮めるのに有効です。
最低限、名前やニックネーム、どのような経歴なのか、なぜ今日ここにいるのか(動画をしている理由など)を紹介するようにしましょう。
オーディエンスは何を求めているのかを明確にする
ある一定のファンがいるならあなたがどのような動画を投稿したとしても、視聴してくれるかもしれませんが、
まだ動画の投稿を始めたばかりならある程度、オーディエンスのニーズを把握し、それを提供しなければなりません。
ビジネスについての動画を制作するにしても、オーディエンスはビジネスの始め方を知りたいと思っているかもしれませんし、
もう少し踏み込んだ継続した経営方法を知りたいかもしれません。
投稿する全ての動画を全く同じストーリーテイストにする必要はありませんが、各動画ごとに「何を伝えたいか」は明確にするようにしましょう。
また、異なる内容の動画でも統一感を持たせるためにイントロとエンディングを用意することも効果的です。
自分の失敗談をシェアする
Youtubeの強みはオーディエンスとクリエーターの心理的な距離が近いことです。
その中でも自分の素の姿を曝け出しているクリエーターは特に、オーディエンスからの支持を集めやすい傾向にあります。
もし、自らの素を曝け出すことに抵抗があるという場合は、あなたのシェアできる範囲の失敗談を話してみるのも良いかもしれません。
「自分の失敗談を話す」ことは「自己開示」をオーディエンスにしていることなのです。
子どもの頃の話や、過去に自分が辿ってきた道のりを話すことを私たちは日常生活の中で頻繁にしていますよね。
人間は自分が親しいと思っている人に自己開示をする傾向があると言われています。
また、人間は相手が打ち明けてくれたことに対して同じくらいの情報を与えることで、
心理的なバランスをとろうとする為「自分が自己開示をすれば相手も同じぐらい自己開示をする」といわれています。
これは「自己開示の返報性」と言い、例えば自分が過去の恋愛での失敗談を相手に話せば、相手も過去の恋愛話を話す可能性が高くなり、
仕事の話をすれば仕事の話をしてくれる可能性が高くなるのです。
そしてこの自己開示の法則には失敗談やネガティブな情報を相手にシェアした方が相手の共感を得やすく、更に相手の情報を引き出しやすいというのです。
ですので、Youtubeなどでオーディエンスと心理的な距離感を縮めたい場合や、ファンを獲得したい場合は成功した話や自慢話をするよりも、
失敗談や悩みなどをシェアする方が効果的かもしれません。
しかし、成功体験をシェアすることで相手にインスピレーションを与えたり、支持を得ることもあります。
ですが、オーディエンスの心を掴むストーリーとしては失敗談を紹介しての、成功までの道のりを語る方が確実に彼らの心を動かすことができるでしょう。
また、あなたが悩む姿を見せることで、オーディエンスはあなたに何か自分ができることをしたくなるかもしれません。
それがコメントの数の多さに反映されるようになると、あなたの動画のエンゲージメントはぐんぐん伸びていくはずです。
ストーリーでオーディエンスの感情を揺さぶる必要性とは?
感情を軸にストーリーを構築する
オーディエンスの心を掴んで離さないストーリーを作るには、さまざまな感情をストーリーに散りばめましょう。
しかし、なぜストーリーには「感情」がそこまで大切なのでしょうか?
人間の脳には一時的に記憶を保管しておく「海馬」と呼ばれる場所と、長期的に保管し必要な時に活用できる「大脳皮質」と呼ばれる場所があります。
新しく覚えた情報は一度海馬に保存され、その中で必要と判断されたものだけが大脳皮質に送られ、不必要と判断されたものは記憶から消し去られてしまいます。
また、海馬がどのような情報を必要だと判断するかにはいくつかの基準があります。
1、イメージが鮮明なもの
2、強く感情が動いたもの
3、何度も繰り返し記憶されるもの
これらが私たち人間にとって記憶に残りやすい物事の「原因」なのです。
(一部引用:人間の脳の記憶のしくみ:https://gakushu-kukan.com/blog/archives/1843)
だからこそ、オーディエンスの感情をジェットコースターのように揺さぶることができるストーリーを動画で見せる必要があるのです。
感情は世界を動かします。私たちは人間であり、感情を持ち、感情に振り回されながら生きているからです。
帰属意識を創り出す
「帰属意識」と聞くと、企業が掲げるミッションや社会への帰属意識などをイメージするかもしれません。
しかし、Youtubeやブランドにおいても帰属意識が大切になってきます。
人は自分が認められている、チームの一員であると感じることで自分自身のことを重要であると感じれるのです。
そして、オーディエンスをグループの一員であるかのように感じさせるためにはまず、彼らの満足度を高め、
そしてブランドやコンテンツクリエーターに愛着を持ってもらわなければなりません。
愛着を強く持つことで、それがエンゲージメントとなりそして、クリエーター側からもオーディエンスの重要性について頻繁に言及したり、
コミュニティーであるということを強調することでオーディエンスの帰属意識を高めることができます。
また、帰属意識を形成するにはブランドを単なるビジネスではなく、ライフスタイルとして表現することが効果的です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回はYouTubeの再生回数を増やす「ストーリーテリング」の作り方&実践的なアドバイスをご紹介いたしました。
数年前まで、Youtubeチャンネルを運営している企業はそこまで多くなかったですが、今ではほとんどの企業がYoutubeチャンネルを所有、運営しています。
あなたの企業もしくはあなた自身がコンテンツクリエーターとしてYoutubeチャンネルを運営する時は、
ぜひ今回ご紹介したさまざまな「ストーリーテリング」の戦術を利用して、オーディエンスのエンゲージメントの獲得に役立ててみてください!