私たちが生活する社会では、毎日どこかで新商品が発表されています。
また、人々はモノを大量に消費する生活に慣れきり、常に新しいものを探し続けています。
逆を言うと企業側は常に他の企業との競争にさらされ、消費者に選んでもらう為には製品の良さをうまく消費者に伝えなければなりません。
その為にも、新商品をどう売り出すかをプランニングし、消費者に選んでもらいやすくなる環境作りをする為にもGo-to-Marketキャンペーンは欠かせないのです。
今記事ではそんなGo-to-Marketキャンペーンについて詳しく解説するだけでなく、どのようにして戦略を組み立てられるのかといった、Go-to-Marketキャンペーン戦略の構築方法をわかりやすくご紹介いたします。
目次
・Go-to-Marketキャンペーン戦略とは?
・Go-to-Marketキャンペーン戦略の重要性
– 成長のための土台を組む
-リスクを減らす
-プロダクトローンチに向けた会社の調整
・Go-to-Marketキャンペーン戦略の組み立て方
-マーケットを特定する(競合他社も含む)
-ターゲット顧客の特定
-製品のポジショニングと価格の設定
-製品メッセージとコアマーケティング戦術の定義
-予算、時間枠、必要なリソースの決定
-成功の指標を明確にする
・まとめ
CONTENTS
Go-to-marketキャンペーン戦略とは?
Go-to-Marketキャンペーン戦略(GTM)とは、企業が新しい製品やサービスを市場に投入するための計画のことをいいます。
基本的には、何を、どの市場に、どのような価格で、どのように提供するか、そしてその製品・サービスを発売するためにオペレーション上何が必要かを明らかにするものです。
Go-to-Marketキャンペーン戦略の重要性
もし、ある企業が発表したい商品が売られている市場に競合がいなかったり、摩擦のないマーケットならば、ワンツイートで新製品を発表し、簡単に販売することができます。
競合がいないマーケットでは誰もがあなたの製品を知りたがり、それを欲しがり、何もかもが簡単に進むでしょう。
しかし、残念ながらビジネスはそんなに単純ではありません。
ここではGo-to-Marketキャンペーン戦略が重要である理由を3つご紹介いたします。
- 成長のための土台を組む
成長のための準備とは、製品を発売する際の最良のシナリオを見つけ、そのチャンスにどう取り組むかを理解することです。
Go-to-Marketキャンペーン戦略を計画する際には、以下のことを確認するようにしましょう。
・製品がターゲットユーザーの問題を解決することができるか。
・製品に需要があり、近い将来さらに需要が高まる可能性があるのか。
・顧客は製品の価値を理解し、それを購入することができるか。
・製品から得られる利益によって、あなたの会社が成長することができるか。
・飽和状態にあるマーケットに参入していないか。
・競合他社に対して実質的な優位性を持っているのか。
・経営的に成長する準備ができているか。(または、スケールアップの計画がある)
- リスクを減らす
成長への準備だけでなく、Go-to-Marketキャンペーン戦略を立てることは最悪のシナリオを特定し、それを回避するための準備にもなるのです。
では企業が直面するリスクとは何でしょうか?
企業が製品の発売を失敗した場合、悪い評判や意見が製品やその背後にあるブランドに付着してしまうことも十分に考えられます。
そして、一度ブランドや製品そのものに悪評がついてしまうと、それらを拭うことは極めて難しいのです。
MicrosftやAppleのような大企業であれば、多少の失敗は許されたとしても、それまでに構築したファンとの関係性やファンの数でカバーされてしまうかもしれません。
しかし、実際的にほとんどの企業は予算やセーフティーネットを持っているわけではないのです。
- プロダクトローンチに向けた会社の調整
プロダクトローンチの準備は、日々の収益業務の喧騒の中で見失われがちですが、他のすべての部門から賛同を得るのに、これ以上のタイミングはないでしょう。
社内の足並みを揃えることで、誰もが製品の発売を知り、大きな赤い「発売」ボタンを押したときに準備ができていることになります。
ですから、「マーケティングが資料をくれない」、「営業が何を売っているのかわからない」、「サポート担当者が必死で社内に答えを求める」というようなことはもうありません。
Go-to-Marketキャンペーン戦略の組み立て方
マーケットの流れを予測することは出来たとしても、確実に流れを読むことは不可能です。
しかし、新商品を発売する際には常にマーケットの流れを予測し、戦略を立てることが必要不可欠になってきます。
Go-to-Marketキャンペーン戦略を構築する上で必要になる要素を追ってご紹介いたします。
-マーケットを特定する(競合他社も含む)
マーケットを把握する(競合他社も含めて)
マーケット調査は、一番最初のステップとなります。
これに取り掛かるのは早ければ早いほどよいでしょう。
しかし、マーケット調査は重要なぶん、時間がかかる作業でもあります。
また、キャンペーンの成功は正しいデータを活用できているかにも大きく左右されます。
一次調査をまずは自分で行い、そして他人が行った二次調査と照らし合わせて情報を分析する必要があるのです。
二次調査には、業界レポート、業界統計、ホワイトペーパー、eBookなどが含まれ、それらを活用することはマーケットに関するデータを得るのに最も手頃かつ迅速な方法といえるでしょう。
企業は頻繁に業界調査レポートや、トレンドレポートをオンラインで配布しています。
このようなレポートは、マーケットをマクロな視点で捉え、周囲を鳥瞰することができるのです。
次に競合分析なくしてマーケット調査は成立しません。
競合分析では、競合が何をやっていて、何が間違っていて、何が全くできていないかを明確にすることができます。
また、二次調査だけでなく一次調査を行うことで、ユニークなマーケット洞察を明らかにし、未開拓の市場の可能性がどこにあるのかを理解することができるのです。
一次調査ではアンケート、インタビュー、フォーカスグループなどを検討しても良いかもしれません。
-ターゲット顧客の特定
市場についてよく理解できたら、次は誰に売ろうとしているのかを明確にしましょう。
リソースにもよりますが、ターゲット顧客を特定する方法は2つあります。
ひとつめはすでに行ったマーケット調査に基づいて、潜在的なターゲット顧客を導き出し彼らに話を聞きましょう。
これは、あなたのリードやソーシャルメディアのフォロワー、または単にあなたの製品に興味があるかもしれないあなたが知っている人々である可能性があります。
また、リサーチ会社に委託して、ターゲット顧客にアプローチすることも検討できます。
ふたつめの方法では、少しクリエイティブになる必要があります。
ここでのコツは、競合のデータを使い、他のソースで調査を「強化」することです。
例えば、競合他社が顧客からの引用を含む事例などを発表している場合、その顧客についてLinkedInでリサーチすることができます。Linkedinでは、その人が会社でどのような役割を担っているかという業界データも調べることができます。
一般的に、このステップの最終目的はバイヤーペルソナを作ることなのです。
ターゲットとするマーケットには、複数のバイヤーペルソナが存在する可能性があることを知っておいてください。
バイヤーペルソナは、ターゲット顧客の購買行動を可視化し、その人物を内面化し、彼らの課題や目標に共感するのに役立ちます。
その他にも潜在顧客に関するインサイトを整理し、伝えるための補助として活用することができます。
では、どのようにバイヤーペルソナを作れば良いのでしょうか?
B2Bの場合、対象となる組織内の意思決定プロセスをマッピングすることも重要です。
これはバイイングセンターと呼ばれ、製品やサービスのマーケティングを誰に向かわせるべきかを決定するのに役立ちます。
イニシエーター:購買プロセスを開始する人
ユーザー:製品の実際のエンドユーザー
インフルエンサー:周囲に製品の良さを伝える
購入決定者:購入を承認する
バイヤー: 予算を所有する
承認者:より大きなスケールでイニシアチブを推し進める経営者
ゲートキーパー:情報の流れをコントロールする
例えば、SEOの代理店をターゲットにした場合を考えてみましょう。
バイヤーセンターはこのような形になります。
イニシエーター:シニアSEOマネージャー
ユーザー:SEOマネージャー、コンテンツマーケティングマネージャー、SEOアナリスト
インフルエンサー:コンテンツマーケティング担当ディレクター
決定者:SEOの責任者
バイヤー:オペレーションスペシャリスト
承認者:CEO
ゲートキーパー:オペレーションスペシャリスト
-製品のポジショニングと価格の設定
プロダクトポジショニングと価格の設定
プロダクト・ポジショニングと価格は、マーケットがあなたの製品をどのように認識するかの基本を形成します。
正しく価格やポジショニングが設定されれば、製品の普及を大きく後押しするでしょう。
製品のポジショニング
ポジショニングは、マーケティングにおける古典的な常用概念のひとつです。
60年代後半にジャック・トラウトが考案し、後にアル・リースとの共著でベストセラーになった「ポジショニング」でも語られているほど、ビジネスにおいてポジショニングは大切なものなのです。
トラウトとリースによれば、ある製品(ブランド)をポジショニングすることは、消費者がその製品(ブランド)をマーケットの中で瞬時に認識できるよにすることでもあるのです。
また、自分が参入しようとしているマーケットを熟知した上でポジショニングを考えると、差別化のアイデアが簡易に浮かんでくるようになるでしょう。
Slackを例にとって見てみましょう。
彼らは製品をただただ「チャットツール」としてマーケットに紹介するのではなく、「メールが不要になる」というメッセージと共にマーケットに参入したのでした。
その結果、多くの人は「メールを使わなくて済む?」というようなビジネスシーンでは珍しいものに関心が惹かれたのでした。
このように製品を正しい場所かつ、覚えてもらいやすい場所に位置することがポジショニングなのです。
何か新しいものを作るのではなく、見込み客の頭の中にあるものを操作しましょう。
ポジショニングを策定する際に最も役立つツールは、競合マップ(ポジショニング・マップとも呼ばれる)です。
知覚マップは、顧客の心の中にある製品(ブランド)の位置づけを図式化したものです。
知覚マップを作成するには、製品空間を定義する属性(ディメンション)を特定し、その空間における製品の位置づけを決定する。
競合マップを作成する最も良い、科学的な方法は、顧客の購買意思決定に影響を与える要因を評価し、見込み客のサンプルにそれらの要因で製品を評価するように依頼することなのです。
画像引用:https://www.edenkleiman.com/switch-bar
ネスレは、新しいチョコレートバーをマーケットに出すために、上の競合マップを制作。
これは、ニュージーランドの消費者が競合するチョコレートをどのように認識しているかを示しています。
例えば、リンツのチリ入りダークチョコレートバーは成熟したエキゾチックな選択肢であり、ミルキーバーは若い人たちにアピールする、より伝統的なオプションだと考えられているということがビジュアルですぐに分かるのです。
もちろん、新製品は何よりもまず会社に利益をもたらすものでなければなりません。
競合他社を血祭りに上げるような価格競争のような無茶な演出をする場合は別ですが…。
製品メッセージとマーケティング戦術
次に潜在顧客に何を伝えるか、どのような戦術とチャネルでコミュニケーションをとるかについてご紹介いたします。
製品メッセージは、ターゲットの注意を引き、製品について顧客を教育するものでなければなりません。
マーケットにはあらゆる製品が溢れ、消費者は常に情報が溢れかえっています。
このような状況を打破するために必要なものが、マーケティング戦術であり、製品メッセージが重要な理由なのです。
マーケティング戦術は、マーケティング目標を達成するための手段です。
そしてメッセージはその手段のひとつです。
もし、あなたがメッセージの開発に頭を抱えているのなら、まずは他社を参考にすることから始めましょう。
同じような企業がどのように製品を導入したかを調べたり、尊敬する企業やマーケティング担当者からインスピレーションを得たりすることです。
彼らがどのような結果を得て、それを実現するために何を投資しなければならなかったかを見てください。
そして、それに自らの強みをリミックスし、改良し、自分のものにするのです。
製品メッセージは顧客とのコミュニケーションにおける戦略的な中心です。
デジタル広告、PRリリース、製品ウェブページのコンテンツなど、ターゲットオーディエンスに向けて作成されるすべてのメッセージの母体となるものです。
また、メッセージが消費者の頭に残りやすいものであればあるほど、消費者はあなたの製品をお店で見かけた時に思い出して購入する確率が高くなるかもしれません。
予算、時間枠、必要なリソースの決定
必要な予算、時間枠、リソースを決定する
どのような製品であれ、市場に出すには時間と資源と資金が必要です。
資金を無駄にすることなく、製品を速やかにマーケットに投入したいのであれば、これらのことを前もって決定しておくことが必要です。
この3つの領域でより柔軟性がある場合、プロジェクトを軌道に乗せるためにいくつかの見積もりを行う必要があります。
ここでは、いくつかの選択肢をご紹介いたします。
類似プロジェクトのデータを使用する。
例えば、以前のGo-to-Marketキャンペーン戦略の予算などを参考にしてみましょう。
また、キャンペーン施策にかかるであろうコストやリソースを予め、リストアップしそれを合計する。
ここでのコツは、予算、時間、リソースの要素をリストアップする際に、できるだけ具体的にすることです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回はGo-to-Marketキャンペーン戦略の作り方についてご紹介いたしました。
新しいマーケットに参入する際はさまざまなことが必要となりますが、今回の記事でご紹介したポイントを抑えることで、施策を成功へ導くことができるかもしれません。
今記事で紹介した戦略の組み方をしっかりと抑えた上で是非、あなたの企業にしかできないGo-to-Marketingキャンペーンを実施してみてくださいね。