TikTokは2021年、ソーシャルメディアプラットフォームの中で最も大きな成長を見せたアプリのひとつです。
また、その成長の影響はユーザーだけでなく、マーケターや広告業界にも人気が広がりつつあります。
TikTokを活用したキャンペーンや広告は増えてきていますが、まだ日本ではTikTokの活用は少しずつ、広がり始めている段階です。
圧倒的なTikTokのユーザー数を誇るアメリカでは、企業はどのようなアプローチをしているのでしょうか?
今記事ではTikTokを活用した数多くの事例を詳しくご紹介いたします。
他社と差をつけるためにも、海外の事例から活用術を学びあなたのブランドのソーシャルメディアマーケティングに生かしてみてください。
CONTENTS
TikTokを活用すべき理由とは?
多くの場合、ソーシャルメディアを活用するユーザーにとって、広告はコンテンツを見るのに少し邪魔な存在として扱われてしまいます。
また、広告の数が多ければ多いほど、多くの消費者は懐疑的になり広告に対して嫌悪感を抱くようになります。
広告を出している側はオーディエンスの視線を集めたいと思っているかも知れませんが、時にそれは全く逆効果を生んでしまうことがあるのです。
しかし、消費者が全ての広告に対して嫌悪感を抱いているかというと、そうではありません。
彼らが広告に嫌悪感を抱く理由はもう少し深いところにあるのです。
オーディエンスが広告に嫌悪感を示す理由は、彼らに関係性の無いものが表示されることで起こったり、
広告自体が面白くない、美しくない、といったことが原因としてあげられます。
ですので、オーディエンスが自分と関係のあるもの、もしくは見ていて嫌にならない広告なら、彼らはスキップすることなく自動的に反応するでしょう。
では、どのように楽しくて、爽やかで、面白い…そんなエンタメ性に富んだ広告を作れば良いのでしょうか?
そんな願いを叶えたのがTikTokの広告でした。
TikTokはほとんどの動画が短尺で、ダンスやコント、ショートストーリーなど、さまざまな形で簡単にコンテンツを楽しむことができます。
また、2016年にサービスが始まって以来TikTokは急速な成長を続け、2020年にはAd AgeのNo.1 Marketer of the Yearのタイトルを獲得したのでした。
また、TikTokは若い世代のハブ的ソーシャルメディアになりつつあります。
TikTokを活用するユーザー平均年齢は60%が10~29歳の若者だとされています。
彼らは個人的にコンテンツを楽しむ人もいれば、知名度を高めたり、
有名になりたいという理由でTikTokを活用するインフルエンサーなど、活用する目的は多岐にわたります。
また、2020年はCOVID-19の影響もあり、多くの人が自宅で楽しめる何かを必死に見つけようとしていました。
そんな時にTikTokは人々を楽しませるのにぴったりのアプリだったのです。
また、TikTokのオーディエンスは1日に1回だけでなく、何度も何度もアプリをチェックすると回答しています。
エンゲージメントも非常に高く、多くのオーディエンスが常に「楽しい何か」を探しているTikTokでは、広いリーチとインプレッションが見込めるのです。
TikTokの広告の種類
TikTokにはさまざまな広告フォーマットが存在し、それぞれが異なる目的を持っています。
同じTikTok広告といっても、フォーマットによって異なるアプローチが存在するので、まずはどのようなフォーマットが存在するかを見ていきましょう。
インフィード広告
インフィード広告は、通常のTikTok動画のように、あなたへのおすすめページの最初の数秒に表示されます。
フルスクリーン、垂直カット、音声付き自動再生など、通常の動画と同じフォーマットで広告を作成できます。
また、インフィード広告はFacebookやInstagramの広告のように、自然にフィードに溶け込んでいますので、
最初の数秒でオーディエンスの視線を惹きつけられるようなフックを作るようにしましょう。
インフィード広告は、他のユーザーが投稿しているコンテンツと同じように「いいね」や「コメント」をつけることができます。
そのため、ユーザーの反応を確認できるだけでなく、シェアされることも期待できます。
ブランドテイクオーバー(起動画面広告)
TikTokではアプリを開いた直後、あなたへのおすすめが表示される前に、短い広告がポップアップで表示されます。
この広告は、3秒間表示される静止画像であったり、3~5秒間のミュートされた動画であったりします。
このタイプの広告では、オーディエンスに強制的に広告を表示することができるので、大量の認知度を求めるブランドにとって大きな助けとなります。
またTikTokは、1日に1つのブランドテイクオーバー広告しかユーザーに表示しません。
そのため、このタイプの広告の需要は非常に高く、その分価格も高くなっています。
現在、ブランドテイクオーバーの価格帯は770円/1,000impとされていて、相場としては500万円ほどが想定されます。
ブランド・ハッシュタグ・チャレンジ
ブランド・ハッシュタグ・チャレンジは、オーディエンスとのより深いエンゲージメントを目指します。
ブランド側がハッシュタグチャレンジを開催することで、ユーザーは自ら動画を撮影し、コンテンツを作成した上でキャンペーンに参加することとなります。
また、ハッシュタグチャレンジはハッシュタグでひとつのページにまとめられる為、他のユーザーも参加者のコンテンツを見ることができます。
この広告形態は他と比べると、オーディエンスにとって楽しい広告ではあるのですが、一方で特定のリーチを保証するものではないという問題があります。
それを避けるために、多くのブランドは人気のあるインフルエンサーを活用して、
彼らの力を借りてリーチを担保した上でキャンペーンを実施していることが多く見られます。
TikTokを活用した広告事例1:RyanAir
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ヨーロッパで超格安航空券を提供している航空会社、Ryanair(ライアンエアー)。
彼らのTikTokアカウントは、TikTokのトレンドとユーモアを取り入れたブランドの一例です。
オーセンティックでカジュアルな外観を維持しながらブランドを宣伝するために、RyanAirは面白いグリーンスクリーンフィルターを作りました。
RyanAirが作ったこのフィルターがあまりにも面白かったことから、多くのオーディエンスは実際にこれが広告であることに気づかないまま、
多くの人がこのフィルターを使って動画を投稿、RyanAirは見事にグリーンスクリーンのトレンドの波を作り出したのでした。
彼らはさらに多くのフィルターを作り出し、現在では約100万人のフォロワーと2,350万以上の「いいね!」を獲得しています。
TikTokを活用した広告事例2:DoorDash
TikTok動画URL:
DoorDashは海外で有名なフードデリバリーのアプリなのですが、
最近ではデリバリーを担当するドライバーの基本給の平均が非常に低いという指摘を社会から多く受けていました。
そこで彼らは、そんなネガティブなフィードバックを払拭すべく、有名なインフルエンサーと提携し、
サービスそのものの宣伝よりもドライバーの待遇を良くすることについて言及したキャンペーンであったり、
世間のDoorDashに対するイメージをかきたてることを目的としたインフィード広告キャンペーンを展開しました。
また、DoorDashは彼らの会社で働く人たちに自らの経験を積極的にシェアしてもらうことを推奨し、現場の声にフォーカスした広告を流しています。
また、TikTokでは多くの企業が企業秘話や舞台裏を公開することが多く見受けられます。
その理由としては、多くのオーディエンスが「裏側」を見れることに高揚感を覚え、そのブランドや企業のことを信頼する確率が高まるからなのです。
TikTokを活用した広告事例3:Chipotle
TikTok動画URL:
Chipotle(チポトレ・メキシカン・グリル)は、アメリカ、イギリス、カナダ、ドイツ、フランスに店舗を構えるメキシコ料理レストランチェーンです。
彼らはファストフードブランドがTikTokに登場する際の足がかりとなりました。
彼らのTikTokでのコミュニケーションは極めてカジュアルなもので、オーディエンスとの距離感は他のブランドと比べても近く保たれています。
また、彼らのブランドは全世界で有名なチェーン店であることから、基本的には新しいキャンペーンや新商品が出たときにしか広告を出しません。
また、彼らは広告だけでなく、恒常的にTikTokを活用してChipotleの裏側を公開しているので、
オーディエンスは自らが食べているメニューがどのように作られているのかを見ることを楽しんでいるのです。
TikTokを活用した広告事例4:WWE
TikTok動画URL:
WWEは、アメリカ合衆国のプロレス団体及び興行会社なのですが、彼らのTikTokを使ったキャンペーンにはたくさんの人が参加しました。
WWEの#wweannouncercontest(#wweアナウンスコンテスト)キャンペーンでは、アメリカの有名なアナウンサー、
ジョン・シナのようなレスラーをアナウンスする動画を実際にユーザーチャレンジしてもらい、TikTokにアップしてもらうものです。
また、このチャレンジの面白い点はインセンティブとしてアナウンスコンテストの優勝者は、
ラスベガスで開催されるイベント「サマースラム」に参加し、自分で試合をアナウンスする機会を得ることができるのです。
このコンテストでは、世界中の人々が自分のアナウンス技術を競い合い、多くのUGCが生まれたのでした。
その結果、このハッシュタグ・チャレンジは、最初の数日間で800万回以上の再生回数を記録し、多くの反響を読んだのでした。
このようにTikTokのハッシュタグチャレンジでは、ただチャレンジに参加してもらうだけでなく、
その先にプレゼントがあるような企画にすることで、多くの人が自然に競い合いはじめ、投稿されるコンテンツの数の激増を狙いましょう。
TikTokを活用した広告事例5:HelloFresh
TikTok動画URL:
HelloFreshはオンライン食材キットミールサービスを提供する多国籍企業で、ドイツ・ベルリンに本社を置き、
欧米豪を中心に世界10カ国以上でウェブサイトおよびアプリにより、ミールキットの宅配サービスを行っている企業です。
HelloFreshはTikTokに積極的に参加し、#HelloFreshハッシュタグチャレンジでオーディエンスにHelloFreshのミールキットを使った料理の腕前を披露してもらいました。
このハッシュタグは6,500万回以上の再生回数を記録し、オーディエンスがミールキットを購入して自分でレシピを試してみることで、
自宅で簡単にシェフになれることをアピールしました。
TikTokを活用した広告事例6:ワシントンポスト
TikTok動画URL:
新聞というと、一般的に年齢層が高い人が読むものだというイメージがありますよね。
しかし、ワシントンポストはTikTokを使い、若い層が支持するブランドへと成長を遂げたのでした。
一般的なニュース報道が若い世代に好まれないことを理解した上で、彼らはあえてTikTokで広告を出すことを決めたのです。
賭けにも見えるこの選択の結果、彼らはタイムリーで正確なニュース報道を提供するという機能に忠実でありながら、
若い世代のオーディエンスを惹きつけることができるクリエイティブな媒体であるということをアピールできたのです。
また、ワシントンポストは、最新の記事を宣伝するために、取り上げられたニュースについての面白いショートドラマを作るインフィード広告を作り始めました。
これにより、オーディエンスはニュースはただ堅苦しいものでないというイメージを持ち、
「もっと見たい!」「知りたい!」という気持ちになることで、読み進めてリンクをクリックしてもらえるようになりました。
また、彼らのTikTokアカウントでは、広告と同じスタイルのオーガニック投稿を行っています。
TikTokを活用した広告事例7:Levi’s
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Levi’sは、自社のタグラインに似せたブランドのハッシュタグチャレンジを実施。
そしてそのチャレンジキャンペーンはTikTokで大人気のチャレンジとなりました。
ハッシュタグ「#liveinlevis」は、オーディエンスが実際にリーバイスの服を着て、「自分の中のモデルを表現する」ことに挑戦するというものでした。
チャレンジ自体が簡単だったことから、世界中のフォロワーが自分のスタイルを披露する大人気のチャレンジと化したのでした。
その結果、このハッシュタグ・チャレンジは2億9千万回の再生回数を達成し、
Levi’sはその後のすべての動画で数十万回の再生回数を獲得するようになったのでした。
TikTokを活用した広告事例8:Oppo & FC バルセロナ
TikTok動画URL:
Oppoは、2004年に設立された中国、広東省東莞市に本部を置く大手通信機器、
ソフトウェアメーカーで、世界で最も有名なサッカークラブのひとつであるFCバルセロナのスポンサーを6年以上務めています。
また、彼らはこれまでに4種類のバルセロナ特別仕様のスマートフォンを発売してきました。
今回、OppoとバルセロナはTikTokでの存在感を高めたいと考え、「#GoForItChallenge」というチャレンジを行いました。
これはファンの方々に、クラブにとっての最高の瞬間を2つずつ選んでもらうといったインタラクティブなチャレンジでした。
選択肢は画面に表示され、投票するには物理的に左右に動かす必要がありました。
このチャレンジを開始するにあたり、Oppo社とFCバルセロナは、トップチームの選手に自ら参加してもらいました。
さらにOppoをサポートするために、FCバルセロナのトップチームの選手を起用した大規模なトップビュー広告とインフィード広告を実施しました。
その結果、このチャレンジは6億7,500万回以上再生され、エンゲージメント率は12%に達しました。
TikTokを活用した広告事例9:Nike
TikTok動画URL:
オリンピックが開催され、スポーツへの注目度が急上昇していた時期にナイキは、「#BreakItDown」のキャンペーンを実施しました。
このハッシュタグでは、バスケットボール、ホッケー、体操など、さまざまなスポーツのスキルや技を披露することを呼びかけ、
参加者の中から選ばれたベストビデオは、Nikeの公式TikTokアカウントに投稿されるというキャンペーンでした。
また、ナイキは、様々な国のアスリートと協力して、独自の#BreakItDownビデオを作成しました。
この結果、このハッシュタグ・チャレンジは何百万回も視聴され、チャレンジ前はNikeはTikTokで活動していなかったにもかかわらず、
彼らのフォロワー数は160万人に達成したのでした。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は2021年のベストTikTok広告 海外事例をご紹介いたしました。
TikTokは他のどのソーシャルメディアよりも急成長を遂げているプラットフォームです。
日本では一般ユーザーの活用や人気のTikTokerばかりに話題が集まっていますが、今後はTikTokを活用した面白い広告施策がどんどん、出てくるはずです。
ぜひ、今回紹介した事例やポイントをあなたのソーシャルメディアマーケティングに生かしてみてくださいね!